キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ

「うそうそ。手を隠すなって未夢」

「うぅ……」


顔の前に張り付いた指を、丁寧にはいでいく凌生くん。

再び私と目が合った瞬間に「どっちが良かった?」といきなりの質問。


「ベッドの上で右手に俺、左手に夏屋をはべらせてさ。どっちが良かったんだよ?」

「え、……あ!」


そう言えばそうだった!

私と雷斗くんって、一緒に横になってたんだ!


「ら、雷斗くんは私を寝かしつけるとかなんとかで……。ちゅ、昼夜逆転なんですね雷斗くんって。初めて知りました!」


ははは、と話をそらしながら笑う。

すると凌生くんは「なんのことだ?」と首をひねった。


「夏屋は昼夜逆転じゃないけど? それはむしろ秋國の方だ」

「えぇ!?」


騙された!

そうだったの、雷斗くん……っ!


私の焦りに輪をかけるように、凌生くんが煽って来る。
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