キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ
「凌生様、お食事をお持ちしました」
「ん、サンキュ」
お盆を持った男の人は、一度お辞儀をして去って行く。慌ててお辞儀をし返した。
そして残った三人の男性に目をやった。
すると男の人が「紹介する」と立ち上がる。
と同時に、あとから入って来た三人が顔を歪めた。
スゴク不機嫌そうな顔だ。
「〝紹介する〟? 俺らのことを知らないなんてビックリ~」
「しかも総季家の娘だというのに。無知にもほどがありますね」
「……」
無知って私のこと、だよね?
でも「俺らのことを知らない」って……。
もしかして、この人たち有名人なのかな?
すると軽い口調の男性が「お前のことは知ってたんでしょ?春宮」と、男の人に言う。
この人、春宮さんって言うんだ……。
チラリと春宮さんを見上げる。
と同時に、昔の記憶がフラッシュバックした。
『おいで。僕が未夢を助けてあげる』
え、今のは……?