キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ

「お前、親が学校に申告するなりして配慮してもらえなかったのかよ?」

「そういうとこ厳しいんだよ、ウチ(冬城家)は」


「冬城クン、かわいそう~!」

「まぁ冬城は本当にたまにサボってますから、ご両親の判断は正しかったと思いますよ」


「……むかつく」


冬城の眉間にシワが出来る。

だけど言い返すのは分が悪いと思ったのか「結局未夢はどうするの?」と話をすり替え始める。


「ってか何で未夢呼び? 気に食わねーな」

「付き合ってもないのに独占欲の塊? さすが忠犬だね。ご主人様にはベッタリってわけだ」

「珍しく良く回る口のせいで、自ら身を滅ぼしていくなんて哀れだな。歯ぁ食いしばれよ、舌噛むぞ」

「図星だからって俺に八つ当たりしないでよね」

「……」

「……」



ギギギと視線が激しく交差する中。

先に目をそらしたのは、冬城だった。
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