キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ
「未夢ちゃん家がこき使ってる、名家の息子たちでーす。どうぞよろしく~」
「――っ!」
紺色の髪の男性――秋國さんが、さっき私を「無知」だと言った理由が分かった。
「家のことはノータッチでいろ」とお兄さまに言われているのもあって、私は総季家がどんな仕事をしていのるか知らない。
それでも、そんな私ですら。
春宮、夏屋、秋國、冬城――この四つの名家を総季が取りまとめ、仕事を振っているのは知ってる。
「さっきはすみませんでした……っ!」
この街では「天下の総季家」なんて言われてるのに、その娘が名家の顔を知らないなんて。
彼らからしたら、気分を悪くするのも無理ない話だよ。
……待って。
ここってB地区だよね?
でもB地区は「総季家に恨みを持つ者の集まり」って――