キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ
「!」
ハッとした顔をした私を見て、秋國さんが「気づきましたか?」と。着ている和服の中で、足を前へ動かした。
「総季家に従っている私たちですが、それは表向きだけ。内心は総季家が大嫌いなんですよ」
「!」
辛辣な言葉にショックを受ける、だけど何となく分かっていた。
だって街中も総季家の悪口を言う人が増えて来て、お父さまの代になって総季家の評判はがた落ちだったから。
でも直属の名家にまで影響があるなんて……。
「父の代わりに謝ります。総季家が勝手をしてすみませんでした……!」
頭を下げ、土下座をする。
すると夏屋さんが「そういうのはいいんだよねぇ」と、私の前に腰を下ろした。