キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ

「こんな所でやられちゃ困る。アンタには、殴られた借りを返さなきゃだからな」

「……たかが一発くらいで、執念深い奴だ」

「アンタも小細工までして妹を守ってるんだから、人のこと言えないだろ」

「……」


男と同じく、ナイフを持った凌生くん。

しかも両手にそれぞれ持ち、二刀流だ。


「まさか、また会えるなんて……っ」


もしかしたら、もう会えないかもって思った人。

こんな場所で再会するなんて……奇跡だ。


「凌生くん……っ」


頬には湿布があるけど、もう痛くなさそう。

安心していると、懐かしい声が後ろから響いた。


「やっほー、未夢ちゃん久しぶり」

「帰ってこないと思ったら、こんな所にいたのですか?」


「え……雷斗くん、梗一くんっ!」


「ばいばーい」と手を振りながら私を通り過ぎる雷斗くん。

一方の梗一くんは「怪我は?」と素早く私の全身を見た。
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