キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ
「総長がいるだけ〝箔〟があるってもんだろ。こちとら総長不在だぞ?」


凌生くんの声にハッとする。

そういえばフロンティアは、四人の中立を守るために総長を置いてないんだっけ。


というか……。


まさかお兄さまが暴走族の総長をしていたなんて。

どちらかと言えば、マジメなお兄さま。

そんな人が総長って、全然イメージが湧かない。


だけどお兄さまの暴走族――イレイズは、フロンティアとは違う気がする。


上手く言えないけど、どこか違和感を覚える。

お兄さまを見るイレイズの目が、みんな鋭いからかな。


すると族の一人がお兄さまに向かって「すまねぇが」とニタリと笑った。


「形だけの総長なんていらねぇ。俺らがいるのは金だけだ。あんたが総長してから分配金が少なくてな、みんな困ってんだ。だからココで退場ねがおうか」
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