キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ
「気にする事ないよ。アイツらなんて、金を積みさえすれば簡単に動く。姫を助けたのも金のため」
「あの……〝姫〟って誰のことですか?」
「あんたのこと」
「え、」
えぇ!?
ひ、姫?
なんで私がそんな呼ばれ方を……っ?
すると怜くんが淡々と説明してくれる。
「未夢って呼びすてにしたら、凌生に怒られてさ」
「お、怒られる?」
「そう。自分以外が〝未夢〟って呼ぶのが気に入らないんだって。ほんと独占欲の塊だよね」
「……~っ」
そんなの嬉しいに決まってる。
凌生くん、そんな事を言ってくれたんだ……っ。
「……今の流れで喜ぶ姫も姫だね」
「す、すみません……っ」
すると近くにイレイズが倒れ込んで来た。
いけない。今は戦闘中だ。にやけてる場合じゃない――だけど。
なんだか全体を見渡しやすくなったような……?
見ると、多くのイレイズが地面に転がって呻いていた。