キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ

「わ、私まだ凌生くんに……こ、告白していなくてっ」

「……」

「凌生くん……?」


少し体を離し、自分の手で顔を隠す凌生くん。

手から覗く耳は、ピアスと同じくらい赤い色。


「……はぁ~ダメ。その言い方は可愛すぎ」

「え、何の話……きゃ、わぁっ」

「その可愛さについて、ベッドの上で小一時間くらい問い詰めるか」

「っ!?」


今、ベッドって言いました!?

凌生くんはひょいと私をお姫様抱っこし、用意されていた車に乗り込む。

運転手は、当然オリさん。


「あの……どこへ行くんですか? 私の家はすぐ近くにあって、」


と言うと、凌生くんに口を塞がれた。

「やかましいのは、この口?」なんて言われて。


「今の未夢を一人で家に戻すくらいなら、俺も総季家に泊まるけど?」

「えと、それは……」


使用人さんたちがビックリすると思うから、やめてあげてください……。
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