キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ

「なら行く所は一つだろ。

帰るぞ、皆のいるB地区に」

「!」


もう戻れないと覚悟していたB地区に戻れるんだ。

しかも、好きな人と一緒に……?


「また凌生くんと一緒にいられるんだっ」


そんなの嬉しすぎるよ――


「はぁ~~。だから聞こえてるんだってば」

「え!ご、ごめんなさい……っ」

「B地区まで待てるわけない、か」

ニッ


顔を真っ赤にした私の上から、凌生くんがバサッと覆いかぶさった。


「わぁ、凌生くん! す、ストップですっ」

「聞こえないなー?」


必死に抵抗するも凌生くんに全てスルーされる私を見て、運転するオリさんがクスクス笑う。

そんなオリさんに、凌生くんが無言で耳栓を渡すのだった。



ㅤ𓈊⚜


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