キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ

「小玉未夢、いいじゃん。私は好きだよっ」

「麻琴ちゃん、ありがとう。お兄さまは小玉覇鐘で、なんかバランス悪いんだけどね」

「そういや、お兄さんも一緒にB地区にいるの?」

「えっとね、それが……いないの」


凌生くんたちが「B地区に来ればいい」と言ってくれたけど、お兄さまはどうしてもイヤだったらしく。

「そこまで世話になるわけにはいかない」と、アパートを借りて一人で暮らしている。


「お兄さまはバイトを始めたらしいんだけど、かなりシフトを入れてるみたいで」

「あ~、会いに行けないんだね」

「そうなの……」


どこに住んでいるかは知ってるんだけど、なかなか会いにいけないのはこれが理由。

スマホも手放した今、たまに手紙でやりとりをする日々。


「にしても、スマホまで解約しなくてもいいのに」

「今の私には贅沢品かなって……それに、私もバイト始めたの。だからお金が溜まったらすぐにスマホを買って、一番に麻琴ちゃんを登録するね」
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