キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ
「やーん、未夢うれしい! 待ってる!」


ぎゅっと私に抱き着いてくれる麻琴ちゃん。

うぅ苦しい……だけど、嬉しい。


「麻琴ちゃん、大好きっ」

「私もだよ、未夢!」


私の家のことを知っても、変わらずに友達でいてくれる麻琴ちゃんには感謝しかない。

クラスで孤立してる私を気にかけてくれたり、噂話の火消しをしてくれたり。


「私、麻琴ちゃんさえ友達でいてくれたら、」

「はい、ストーっプ。そろそろ体育祭があるから、これを機にクラスの人と仲良くなるんだって。そう意気込んでいたのは誰?」

「うぅ、私です」


そうだった……。

昔から怖いものから逃げちゃう癖が、まだ直らない……。


「友達、できるかなぁ」

「そうビクビクしないで。きっとお兄さんも頑張ってるよ。私もいるし、未夢は一人じゃないよ。ファイト!」

「……うん、がんばるっ」


そして二人でハイタッチをする。

だけど、はた、と。

麻琴ちゃんが何かに気付いた。


「それにしても、お兄さんってどこで働いてるの?」

「あ……そういえば聞いた事なかった」

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