キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ
last······▸ 甘園






「ここを家だと思っていいから」というお言葉に甘えている現在。

以前と同じように、凌生くんの部屋で寝泊まりし、多くの時間を一緒に過ごしている。


「り、凌生くん、今日もこちらにいたんですね」

「未夢がいるのに家に帰るわけないだろ」


そう。以前の凌生くんは〝たまに〟B地区に来ていた……のだけど、私が住むことになって以来。

家に帰らず、ずっとココで過ごしている。


「お父さんとお母さんが心配しますよ……?」

「するかよ。未夢がいるからって言ったら〝なら仕方ない〟って簡単に諦めてくれるぞ」

「えぇ……」


凌生くんのお父さんお母さん、規則が緩いのかな。

私のお父さまはそんなこと無かったから羨ましいな。


「でも私は元・総季家の人間ですよ? 名家の凌生くんと一緒にいていいのでしょうか……」


普通、跡取りが没落令嬢と一緒にいたら嫌だよね?

風評被害もあるし、総季家だけじゃなくて春宮家も悪く言われるかもしれない。
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