キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ
「……」

「……あれ?」


いつまで経っても反応がないから、どうしたのかと思えば。

凌生くんは顔を赤くして固まっていた。


「あの、凌生くん……?」

「だって清廉潔白なお嬢様が〝もっと〟なんてオネダリするなんて……」

「えと、私は清廉潔白でも無いし、もうお嬢様でもないですよ?」


だけど凌生くんにはよほど衝撃的だったらしく、お兄さまからの手紙を持って「こんな未夢の姿みたら兄貴は泣くだろうな…」となぜか同情していた。


あ、そうか。

つまり、さっきの私は……


「すみません……はしたなかったですよね」

「へ?」

「さっきの取り消します。聞かなかった事にしてくださいっ」


ポッと赤くなった顔は、両手を広げても隠しきれるものでは無く。

結局、凌生くんにより両手をバンザイさせられる。


「今さら〝ナシはダメ〟に決まってるだろ」

「で、でも私、考え無しに言ってしまって、」
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