キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ
「すー……」
「ふっ」
汗をかき頬を赤く染めたまま眠る私を見て、凌生くんは優しく笑う。
「これから一生、俺が幸せにするからな。未夢」
そんな凌生くんの囁きを知ってか知らずか。
私は「むにゃ」と寝言を言って笑った。
その時だった。
「未夢ちゃん、いる〜?」
部屋にひょこっと顔を出したのは、雷斗くん。
頬を紅潮させたまま寝ている私を見て「うわぁ」と。
まるでケダモノを見る目で凌生くんを見た。
「未夢ちゃんが学校から帰宅して早々なんて、えげつないんだけど」
「は? なに勘違いしてんだよ」
何にもしてねーよ、と言う凌生くんを裏切るかのように、私が寝言で「凌生くん、ダメ」と言ってしまう。
「……」
「……ほら」
あらぬ証拠を出されて若干気まずくなった凌生くんは「最初しかしてないっての」と、ふくれっ面をした。