キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ

「未夢様と手を繋いでいることがバレたら凌生様に怒られるので、お先に行きますね。未夢さん」

「お、怒られる?」

「凌生様は指一本、髪の毛一筋に至るまで未夢さんを愛しておられますから」

「っ!」


その言葉に、思わず顔が熱くなる。

私、凌生くんに愛されているんだ……っ。


「〜っ、へへ」


すると私が遅れをとっていると気づいた凌生くんが、くるりとUターンして戻ってくる。


「ん」

「ん?」


何かと思えば私をヒョイと持ち上げ……なんとお姫様抱っこをしてくれた。


「じ、自分で走れますよっ」

「俺がこーしたいんだっての。落とされたくなかったらいい子に掴まっときな、お姫様」

「……っ」


この上なく幸せで……胸がくるしくなる。

凌生くん、私がこんなに幸せなのは、あなたのおかげなんだよ?

気づいてる――?
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