キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ

スリッ


溢れる想いから、凌生くんの首に頬を擦り寄せた。

そして――


「ありがとう、凌生」

「っ!……反則」


眉間にシワを寄せて、顔を赤らめながら笑う凌生くん。

呼び捨てにしたら怒られるかな?って思ったけど……なんだか喜んでくれてるみたい。

これからは、たまに凌生って呼ぼうかなっ。


「って、わぁ! 走るの速いよッ」

「未夢が可愛いのが悪い、観念しろ」

「えぇ~」


クスクス笑いながら、私たちは前へと進む。

このまま二人、きっとどこまでも駆けていけるんだって。

不思議とそんな自信に包まれる。


「なぁ未夢、気が早いけど指輪を買いに行くか」

「えッ」

「未夢は俺の物って、早く印をつけとかないとな」

「~っ」


驚きと喜びが、同時に押し寄せる。

そんな事を言ってくれるなんて……私は本当に幸せ者だよ。
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