キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ

「敬語を使ったら罰、覚えてるだろ? 今日の夜も楽しみだなぁ未夢」

「うぅ……っ」


夜のことを想像し冷や汗を流す私と、ウキウキ顔を浮かべる凌生くん。

そんな私たちを、B地区改め――新しい名前の入った看板が見守っていた。



『 Dream Frontier 』



ここに住む人達が現実に負けず夢と未来を切り開いていけますように――そんな願いを込めて、みんなでつけた名前。



「凌生様、遅いですよ〜」
「未夢、何かあったか?」


「げ。あの二人、引き返して来たのかよ」

「ふふ」


ドリームフロンティアに住む子たちは、過去の私と同じように苦しい現実を背負っている。

だけど――きっと抜け出せる。

ツライ現実に追われても、ここに帰ってくれば誰かが帰りを待ってくれている。


だから、歩くことをやめないで。

自分はひとりぼっちだと塞ぎこまないで。

前を向けば、今まで気づかなかった誰かの優しさに、きっと出会えるはずだから。



「なぁ未夢。気に食わないけど……せっかく覇鐘もいるし、色々買ってパーティーするか。未夢の友達も呼んでさ」

「麻琴ちゃん? よ、呼ぶ! 呼びたい!」

「はは、賑やかになるな」

「うん、楽しみッ!」



【キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ】



_𝐞𝐧𝐝_



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