キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ

お兄さまと凌生くんには何か繋がりがあるということ?

それに、あの時の凌生くんの顔。ビックリした。

だって昔は優しく笑う人だったのに、さっきの笑みはなんだか暗くて妖しくて、そして――


「全然知らない人みたいだった……」


昔の凌生くんとは、似ても似つかない顔つき。

大人びてるっていうのもあるけど……それだけじゃない。

どこか恐怖がまとわりついている。


「ピアスが赤色だから怖く見えるのかな」


まるで恐怖オーラを助長させるような赤色ピアス。

それは黒髪の凌生くんによく映えていて……迫力がある。


さっき「ケンカなら任せろ」といって出て行ったけど、本当に任せて大丈夫だろうって。

何も知らない私でもそう思える。

それくらい、凌生くんのまとっている雰囲気は一般人とは別格だった。


「あ、でも。よく考えれば……」
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