キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ
act3······▸ 監視
その夜、また夢を見た。
凌生くんとお話ししてる夢。
二人とも小さい頃の姿のままで、他愛もない話をしてニコニコ笑い合っている。
だけど私が瞬きした一瞬の間で、凌生くんは大きくなっていた。反対に、私は子供の姿のまま。
『凌生くん……?』
不安に思った私が、凌生くんに手を伸ばす。
だけど掴まらせてはくれなくて、スッと避けられた。
そして「あーぁ」と。
困った顔でため息を吐きながら、私の髪を一束すくう。
サラリ、サラリと。
落ちていく髪を、目で追う凌生くん。
一体、何を考えているんだろう。
『……ダメじゃん、こんな所へ来ちゃ』
凌生くんが呟いた。
すると凌生くんの周りに、いつの間にか新たに三人の姿。夏屋さん、秋國さん、冬城さんだ。
三人に促され、凌生くんは私に背中を向ける。
すると私がいる部屋は、どんどん暗くなっていって――
たまらない心細さに、再び手を伸ばした。
『凌生くん!』
行かないで、もうどこにも行かないで。
すると凌生くんは少しだけ振り向く。
そして幼い私が恋をした優しい凌生くんの顔で言った。
『笑って、未夢――』