キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ
「いま現在進行中です。〝これ〟が私の仕事ですから」
「え……?」
「あなたの喉元にナイフを添える、簡単な仕事です。どうです、興味がありますか?」
「……っ」
そんなの、あるわけない……っ。
怖すぎて返事も出来なかった私に「冗談ですよ」と、本気の目のまま梗一くんはナイフを下げた。
「私は監視役です。春宮から言われましてね。ここでずっと未夢さんを見張っていました」
「監視役……」
しかも凌生くんの指示で。
凌生くんも、私を信用していないんだ。
友達の未夢ではなく、総季家の娘。
やっぱり私は人質で、それ以下はあってもそれ以上はない。
本当に……もう友達じゃないんだ。
「……っ」
じわりと目に浮かぶ涙に気付く。
いけない、泣いちゃダメなのに。
急いで両目をさすると、梗一くんが下げていたナイフを、私の二の腕にヒタリと当てる。