キケンな夜、追われる少女は、ヒミツの甘園へ迷いこむ
はぁ――とため息をついた時。
ちょうどお屋敷に帰って来た。
使用人さん達に出迎えられる中、震える足にムチを打ち、お兄さまの部屋をノックする。
コンコン
「お兄さま、未夢です」
「入れ」
「し、失礼します」
パタン、と扉を閉めたタイミングと同じだった。
クシャクシャに丸まった紙が、私に投げられたのは。
「それは、どういう事だ?」
「え……、この紙は一体……」
屈んで、丸まった紙を手に取る。
広げると……この前行われた試験の答案用紙が、顔を出した。
「お兄さま、どうして……これを」
「質問に答えろ。その点数はどういう事だと聞いている」
「……っ」
「99点」と書かれた答案用紙を強く握る。
ケアレスミスによるもので、満点は取れなかった。
でも……。
これは確か、自室の引き出しの中に入れていたのに――