あの夜に焦がれる。


葬儀が終わり、理央は出棺された。

荼毘に付されている間、僕は待合室にあるソファに腰を下ろした。


理央の母親から連絡を受けた時、理央が死んだという事実を当然受け入れることは出来なかった。


あの理央が本当に亡くなったのか、いや本当は今もどこかで生きているんじゃないかと、ずっと頭の中でぐるぐると回り続けた。


でもようやく棺に収まった理央が火葬場に入っていく時、

心の奥をグッとつかまれて、考えていた頭の中が急に真っ白になり、どこか埋まらない心がどんどんと喉を伝って声が漏れた。



行かないで、と。

火葬場に入っていく理央が本当に遠くへ行ってしまう気がして、寂しさが遅れて涙となって溢れた。


ようやく涙がひいたかと思ったのに待合室に入ると、また目頭が熱くなって目の前が見えなくなった。


ずっと憧れであった君にはもう二度と会えない。

少し前まではあたりまえのようにいた理央がもう隣にいることはない。



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