あの夜に焦がれる。
4月に教室の窓から見ていた人は理央だったんだ。ということは僕は気づいていなかっただけでセーラー服の理央も学ランの理央も両方目にしていたということか。
「ねえ、どうして理央は僕なんかに声かけたの?」
「単純に興味があった。響のキラキラした瞳の中に何が浮かんでいるんだろって色々想像した。もしかしてかわいいものが好きなんじゃないか、とかな」
胸がちくりと痛む。
「あー、やっぱり僕のこと気持ち悪いって思った?」
こんな僕に話しかけてくれるのが嬉しかった。
でもやっぱり他の人と同じか。
ただの一時的な興味本位。僕のことを知ったらそういう人だったのかと見下すような目で僕を見る。
「……あのなぁ、俺が響に興味を持つように、響も俺に興味持ってんだろ?」
「え」
「なんで俺が男の格好したり、女の格好したりするのか」
あ、と声が洩れて口をおさえた。
確かにそうだ。実際に聞きはしなかったけどどうして容姿が変わったのか気になっていた。