あの夜に焦がれる。
「人は興味を持つ生き物なんだよ。でも全員が自分の思っているような、気持ち悪いとか可笑しいとかそんな不快感を抱いている人ばかりじゃない。俺みたいにただ響自身に興味を持つ人もいる。響を不快にさせる奴なんて放っておけば良い」
理央の真剣な表情を僕に向ける。
灰色の瞳は真っ直ぐに僕から目を離さなかった。
「……ごめん、誤解してた」
ああ、そんなの考えたことなんてなかった。かわいいものを買ったりして色んな視線を浴びるたびにもしかしたらって考えて、ひとりで悩んで、でもどうしようもなくて、丸め込むしかなかった自分が馬鹿みたいだ。
「別に気になるっていうのは悪い言葉じゃねえだろ? 響だって気になりはしてたけど俺のこと見ても気持ち悪いだなんて一言も言わなかったじゃねえか、そうだろ?」
「……そうだね、急に姿が変わったからびっくりはしたけど、気持ち悪いなんて一度も思わなかった」
綺麗、だと思った。僕の心がそう、叫んでいる。
「だろ? 俺らのことを不快だなんて思うやつは少数だ。響はもっと堂々とすれば良い」