あの夜に焦がれる。
堂々とすれば良いか。それって理央みたいにってことなのだろうか。
凄いな、理央は。
自分自身のことをちゃんと理解して、自分のことをどんな人であるのか、どうありたいのかがしっかりしている。
こんなに自分のことを愛している人と出会ったのは初めてだ。
「……凄い、凄いなあ理央は。……本当に綺麗だ」
理央はその言葉を受けると嬉しそうに笑った。
「あたりまえだ。
だって、男にでも女にでもなれる俺って、最強だろ?」
夜空を背景にして笑みを浮かべる理央に、一瞬にして目を奪われる。
どくどくと、速くなる心臓をぎゅっと押さえつける。
やっぱり綺麗だ。
そしてなんと言っても、どうしてこんなに自由なんだ。
「ねえ、理央」
灰色の瞳は真っ直ぐに僕を見つめる。
「ん?」
「どうして理央はそんなに自由でいられるの?」