あの夜に焦がれる。
どうしても知りたくなった。
縛られている僕とは正反対に、自分のことをさらけ出せる理央のことを。
理央のことを少し、知りたくなった。
「俺は俺でいるだけだ。好きなことをして好きなように生きる」
「……そっか」
「なあ、響。本当の答えを教えてくれるか?」
理央は僕の心臓に指をさした。
「かわいいものは好きか?」
今までの僕なら好きじゃないよと苦笑いして答えていたと思う。
それでも今の僕は少しだけわがままだったらしい。
「僕はかわいいものが好きだ、誰にどう言われようとかわいいものが好きで好きで仕方ない」
まだ心臓の鼓動が強く、強く鳴り響いている。
思ったより後悔はしていない。自分でも驚くほどどうやら僕はかわいいものが好きだったようだ。
「響ならそう言ってくれると思った」
自信満々に答える理央を見て、自然と笑みがこぼれる。
この夜の出来事は今でもずっと胸の奥に眠っている。
僕はこの先も理央と過ごした日々を一生忘れることはない。
この日を境に僕の人生は大きく変わることになるからだ。