あの夜に焦がれる。
激しい雨音のせいでいつもより早くに目が覚めた。
もう一度眠る気になれず、ベッドから起き上がり勉強机の椅子に座った。
学校があってもなくても大体いつも7時半ごろに目が覚める。
けど今日はまだ6時半だし、昨日あまり進まなかった夏休みの課題でもしようかな。
教科書とノートを開き、シャーペンを筆箱から取り出した。
昨日の夜は結局門限ギリギリまで理央と話をした。
そんなに話すことはないと思っていたのにまさかあんなに話が盛り上がるなんて思わなかったな。
家に帰ってきた時はお母さんに何か聞かれるんじゃないかとおそるおそる玄関のドアを開けた。
でもお母さんは何も言わずに僕の帰りを待ってくれていた。
僕が夜ご飯を食べている時もテレビを見ている時もお母さんは僕からの話を待っている様子だったけど、何を話して良いのか分からなかった僕は聞かれないなら話すことでもないと思って、何も言わなかった。
ふと机に置いていたスマホが視界に入る。シャーペンを置き、スマホを手に取った。