あの夜に焦がれる。


自殺した人が書き残した手紙や日記で学校内のいじめや長時間労働など様々な原因が浮上してくる。


なぜ人が追い詰められて自殺という選択肢がなくなるまで誰もその人の異変に気がつかないのか、

本当は見て見ぬふりをしているだけではないか、教師は一体何のために担任という役割を持っているのかなんて、そんな甘い考えがたくさん浮かんでくる。


でも実際はどうだ。僕が自殺した人と友達だったら? 担任だったら? 部下や上司だったら?

その人が自殺を選択する前に僕は助けられるのかという問題が出てくる。


甘い考えを容易に言葉として発してはいけない。きっと関係のない僕たちが意見を発言したり、批判したり、攻撃するものではないのだ。



「ごちそうさま、お皿洗うね」


「ありがとう響。それじゃあお母さん洗濯物干してくるわね」


お母さんはそう言ってリビングを後にした。

僕はお皿をかき集めてシンクに持っていき、スポンジを洗剤で泡立てた。


お皿を丁寧に洗い、泡と混じり合った水が排水口へ流れていくのをただただなんとなく眺めていた。

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