クズ男に囚われたら。
「あ〜……。それを依存と捉えちゃうのかぁ」
「え?」
「ううん。なんでもなーい」
栞はチラッとわたしの顔を見てから、またパソコン画面に視線を戻す。
「でもさ、栞思うんだけどね。七帆ちゃんが気を許せる存在ってすっごく貴重だと思うの」
「うん?」
「まあ、その相手があの瀬能くんだっていうのは残念だけど」
少し不満げに話す栞は、あまり瀬能のことを良く思ってはいない。
それもそのはず。
あれだけ校則も守らず、女の子の相手ばかりしている男を、良く思う方が可笑しな話。
わたしだって、今の関係になる前までは栞と同意見だった。
いや、今でも結構そう思うかも。
「だって七帆ちゃん、瀬能くんにお家のこと話してるんでしょ?」
「うーん……まぁ、成り行きで?」