クズ男に囚われたら。
いつもの光景。
これが、彼の当たり前。
「ねぇ遊〜。今日は……イイ?」
「んー。どうかな」
「あははっ、何それ〜。ダメなときなんてないくせに」
のらり、くらり。
でも、来る者は拒まず。
瀬能遊の女癖の悪さも、この学校では有名な話。
なんせ、彼は顔がいい。
それを利用して、今までどれほどの女の子を食ってきたことか。
「ハイハイ、話はそこまでにしてね。瀬能、せめてネクタイくらいはちゃんと締めて」
「えー。橘花がやってよ」
「あとピアスも外すこと」
瀬能の言葉は無視して、あくまでも風紀委員として淡々と彼の指導をする。
どうせ言っても無駄なんだろうけど。
「遊、カナがやったげるっ」
結局、自分ではやろうとしない瀬能に代わって、女の子が瀬能の前に回り込んでネクタイを締めた。