Love is blind〜無口で無愛想な作家は抑えられない独占愛を綴る〜
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朝から今日着る服を選んで、久しぶりに髪を巻いた。スキンケアも念入りに、メイクもいつもよりも気合いを入れた。
よく考えたら、二人にとっては初デート。仕事帰りや普段着じゃなくて、ちゃんとデート仕様の自分も見せたかった。
春香はスカートがフレアになった白のロング丈のワンピースに、厚手の黒のニットカーディガンを羽織り、瑠維は黒のジャケットとパンツ、中にはくすみブルーのTシャツを着ていた。
支度を整えてリビングで落ち合った時、彼の格好良い姿にドキドキが止まらなくなってしまう。再会した時も格好良いとは感じたけど、恋愛フィルター越しに見るのはまた違っていた。
「春香さん、すごく可愛いです」
そう言って差し出された手に自分の手を重ねると、心臓の音が伝わってしまいそうで少し緊張した。
「本当? ありがとう」
「じゃあ行きましょうか」
手を繋いだまま久しぶりに電車に乗りドアのそばに立つと、瑠維は春香の目の前に立ち、人混みから守ってくれた。
「なんかデートって久しぶりでちょっとドキドキする」
「僕はデートと名のつくものは初めてです」
「えっ、一回も? 中学の時とかは?」
「ないですね。部活と勉強の三年間でしたから」
「瑠維くんって、いちいちいじらしいのよね……心臓が保たないわ」
「そうなんですか?」
キョトンとした顔で春香を見つめる瑠維は、その事実を全くわかっていないようだ。
春香は苦笑しながらため息をついた。自覚なしなんて、それが一番困る。
電車が目的地の駅に到着し、人の流れに従うように電車を降り、美術館への道を歩き始めた。
先ほどまでの人の波はないものの、ちらほらと同じ方向へ歩く女性たちは、きっと同じ美術館を目指しているに違いない。
「女性に人気がありますよね」
瑠維も同じことを思ったのか、ポツリとそう呟いた。
「確かにそうかも。被写体が魅力的だし、背景とか色遣いが本当にきれいなの。女性が惹かれる要素が多いのかもしれない」
美術館のある公園の中に足を踏み入れると、景色が徐々に木々に変わっていく。自然の中に佇むと、空気が澄んでいるのがわかった。
「ここってお花見スポットだから、春は桜がきれいなんだろうね」
「また春に来たいですね」
瑠維の顔を見上げると、春香に優しい笑みを向けていた。
きっと瑠維くんは、今の言葉が私をどれだだけ喜ばせたかなんて気付いていないと思う。
「じゃあ頑張ってお花見弁当作らなきゃ」
瑠維の腕に自分の腕を絡ませ、にやけた表情がバレないようにぎゅっとその腕に抱きついた。
昨日からの不安も、彼がしてくれた未来の話を聞けば払拭されてしまうのだった。
よく考えたら、二人にとっては初デート。仕事帰りや普段着じゃなくて、ちゃんとデート仕様の自分も見せたかった。
春香はスカートがフレアになった白のロング丈のワンピースに、厚手の黒のニットカーディガンを羽織り、瑠維は黒のジャケットとパンツ、中にはくすみブルーのTシャツを着ていた。
支度を整えてリビングで落ち合った時、彼の格好良い姿にドキドキが止まらなくなってしまう。再会した時も格好良いとは感じたけど、恋愛フィルター越しに見るのはまた違っていた。
「春香さん、すごく可愛いです」
そう言って差し出された手に自分の手を重ねると、心臓の音が伝わってしまいそうで少し緊張した。
「本当? ありがとう」
「じゃあ行きましょうか」
手を繋いだまま久しぶりに電車に乗りドアのそばに立つと、瑠維は春香の目の前に立ち、人混みから守ってくれた。
「なんかデートって久しぶりでちょっとドキドキする」
「僕はデートと名のつくものは初めてです」
「えっ、一回も? 中学の時とかは?」
「ないですね。部活と勉強の三年間でしたから」
「瑠維くんって、いちいちいじらしいのよね……心臓が保たないわ」
「そうなんですか?」
キョトンとした顔で春香を見つめる瑠維は、その事実を全くわかっていないようだ。
春香は苦笑しながらため息をついた。自覚なしなんて、それが一番困る。
電車が目的地の駅に到着し、人の流れに従うように電車を降り、美術館への道を歩き始めた。
先ほどまでの人の波はないものの、ちらほらと同じ方向へ歩く女性たちは、きっと同じ美術館を目指しているに違いない。
「女性に人気がありますよね」
瑠維も同じことを思ったのか、ポツリとそう呟いた。
「確かにそうかも。被写体が魅力的だし、背景とか色遣いが本当にきれいなの。女性が惹かれる要素が多いのかもしれない」
美術館のある公園の中に足を踏み入れると、景色が徐々に木々に変わっていく。自然の中に佇むと、空気が澄んでいるのがわかった。
「ここってお花見スポットだから、春は桜がきれいなんだろうね」
「また春に来たいですね」
瑠維の顔を見上げると、春香に優しい笑みを向けていた。
きっと瑠維くんは、今の言葉が私をどれだだけ喜ばせたかなんて気付いていないと思う。
「じゃあ頑張ってお花見弁当作らなきゃ」
瑠維の腕に自分の腕を絡ませ、にやけた表情がバレないようにぎゅっとその腕に抱きついた。
昨日からの不安も、彼がしてくれた未来の話を聞けば払拭されてしまうのだった。