Love is blind〜無口で無愛想な作家は抑えられない独占愛を綴る〜
まだ誰も住んでいない家なのに突然男性の声が響いたため、春香は驚いて体をビクッと震わせる。
部屋の中からテレビモニターなどで確認が出来れば安心なのだが、不意に話しかけられたり、今のようなドア越しの男性の声というだけでも未だに恐怖心を覚えてしまう。
もうそろそろ大丈夫だと思っていたんだけどなーー心に根を張った恐怖心はなかなか払拭することは出来ず、春香の心のトラウマになっていた。
その春香の様子に気付いた瑠維は、彼女をそっと抱き寄せ、頭を優しく撫でる。それからスマホで何かを確認すると、春香の額にキスをした。
「大丈夫です。リフォーム会社の方です。あの男ではないですから安心してください」
「あっ、うん……ありがとう」
瑠維が、通り側のドアを開けると、そこには四十代後半くらいのスーツ姿の男性が、寒そうに震えながらも笑顔で立っていた。
「お久しぶりです。時間通りの到着ですね」
「えぇ、もちろんです! 大切な引き渡しの日ですからね」
それから春香の存在に気付くと、表情がパッと更に明るくなる。
「あぁ、すみません! 初めまして。今回リフォームを承りました志賀と申します。もしかしてあなたは……」
首を傾げた春香に代わり、
「そうです。お付き合いしている大切な方です」
と瑠維が答えた。
"お付き合いしている大切な人"ーーその言葉が嬉しくて、先ほどまでの不安が消えて、逆に心がくすぐったくなる。
「やはりそうでしたか! なるほど。だから急にカラーの変更が入ったんですね」
「カラーの変更?」
「ええ。最初は白黒ベースと言われていたんですが、間に合うところがあれば変更したいといわれましてね。何か心境の変化があったのだろうと思っていたんですよ」
「……そうなの?」
瑠維の顔を見上げると、困ったように目を逸らして口元を手で覆った。
それはまるで春香が住むことを意識してリフォームをしていたということになる。そのことを知った春香は胸が熱くなり、彼を抱きしめたい衝動に駆られたが人前であることを意識してぐっと堪えた。
「では今日はリフォーム箇所の確認、点検作業と、その後に引き渡しとなりますので、早速中へ入りましょうか」
志賀に促され、三人は玄関ドアに向かって歩き出した。
部屋の中からテレビモニターなどで確認が出来れば安心なのだが、不意に話しかけられたり、今のようなドア越しの男性の声というだけでも未だに恐怖心を覚えてしまう。
もうそろそろ大丈夫だと思っていたんだけどなーー心に根を張った恐怖心はなかなか払拭することは出来ず、春香の心のトラウマになっていた。
その春香の様子に気付いた瑠維は、彼女をそっと抱き寄せ、頭を優しく撫でる。それからスマホで何かを確認すると、春香の額にキスをした。
「大丈夫です。リフォーム会社の方です。あの男ではないですから安心してください」
「あっ、うん……ありがとう」
瑠維が、通り側のドアを開けると、そこには四十代後半くらいのスーツ姿の男性が、寒そうに震えながらも笑顔で立っていた。
「お久しぶりです。時間通りの到着ですね」
「えぇ、もちろんです! 大切な引き渡しの日ですからね」
それから春香の存在に気付くと、表情がパッと更に明るくなる。
「あぁ、すみません! 初めまして。今回リフォームを承りました志賀と申します。もしかしてあなたは……」
首を傾げた春香に代わり、
「そうです。お付き合いしている大切な方です」
と瑠維が答えた。
"お付き合いしている大切な人"ーーその言葉が嬉しくて、先ほどまでの不安が消えて、逆に心がくすぐったくなる。
「やはりそうでしたか! なるほど。だから急にカラーの変更が入ったんですね」
「カラーの変更?」
「ええ。最初は白黒ベースと言われていたんですが、間に合うところがあれば変更したいといわれましてね。何か心境の変化があったのだろうと思っていたんですよ」
「……そうなの?」
瑠維の顔を見上げると、困ったように目を逸らして口元を手で覆った。
それはまるで春香が住むことを意識してリフォームをしていたということになる。そのことを知った春香は胸が熱くなり、彼を抱きしめたい衝動に駆られたが人前であることを意識してぐっと堪えた。
「では今日はリフォーム箇所の確認、点検作業と、その後に引き渡しとなりますので、早速中へ入りましょうか」
志賀に促され、三人は玄関ドアに向かって歩き出した。