Love is blind〜無口で無愛想な作家は抑えられない独占愛を綴る〜
「瑠維くん……?」

 すると瑠維は春香の肩に額をのせると、大きく息を吐いた。

「すみません……ここはベッドも何もないのに……。僕が勝手過ぎました。早く帰りましょう」

 春香は瑠維の言おうとしていることをようやく理解したが、体は火照り、いまさら後戻りなんて出来なかった。

 不満げな表情を見せると、瑠維が困ったように笑う。

「僕のせいですみません。でも春香さんを床に寝かせるわけにはいかないですし」

 春香の心配をしてくれた瑠維を愛おしく思った時、あることを思い出す。

「じゃあ私が上になる……?」

 以前、一度だけ春香が上になったことがあった。ただそれは瑠維がトラウマを克服するための行為であって、あの日以降はしていなかった。

 だから逆にそれをすることによって、再び監禁されていた時のことを思い出したりしないかが春香は心配だった。

 しかし春香の予想に反して、瑠維は嬉しそうに目を見開き、急に鼻息が荒くなる。

「いいんですか?」
「えっ、逆にいいの?」
「僕は……またして欲しいと思っていましたけど、春香さんが嫌かもしれないと思うと言えなくて……」
「そうなの? 私は瑠維くんが嫌だと勝手に思ってたから……」

 二人は顔を見合わせると、唇を重ねる。瑠維は春香の体を抱き上げ、自分は床に腰を下ろし、春香を跨るように足の上に座らせた。

 それから自身のデニムに手をかけたのを、春香が制する。

「私がやる」

 照れ臭そうに笑って両手を上げた瑠維は、ポケットからコンドームを取り出して春香に渡した。それを見た春香は吹き出す。

「どうしてポケットに入ってるの?」
「春香さんといつでもどこでも出来るようにです」
「家で十分じゃないの?」
「……無理です。春香さんといると、いつムラムラが来るかわからないので」

 それは恥ずかしいような、嬉しいような、胸がくすぐったくなる。照れ臭くて俯いた春香は瑠維のデニムのボタンをはずし、ボクサーパンツとともに膝下まで下ろした。

 瑠維のモノにそっと触れると、彼が恥ずかしそうに手で顔を隠したので、その仕草が可愛くてドキドキしてしまう。

「瑠維くん、もういい….?」

 そう尋ねると、瑠維は熱っぽい瞳で春香を見つめて頷いた。
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