Love is blind〜無口で無愛想な作家は抑えられない独占愛を綴る〜
* * * *
忙しかった一日も終わり、春香は店長の島木瞳とともに閉店作業をしていた。
「よし、今日の仕事は終わり! 佐倉さんもお疲れ様」
「お疲れ様です。本当に今日は忙しかったですねぇ」
タブレットを閉じて両腕をぐるぐると回していた瞳は、片付けをしていた春香に向かって声をかける。
「そういえば今日の午前中に、またあの男性が来たのよね。前に佐倉さんが接客した……ほら、奥さんへのプレゼントを選んで欲しいって言った人」
「えっ……」
「なんかまた佐倉さんに相談したいことがあるから、あなたの出勤の予定を教えて欲しいって言われたの」
春香の顔から血の気が引いていく。
「あの、店長は何て……」
「『今日の午後は出勤しますが、明日は休みです。その後のシフトはまだ確定ではないので』って誤魔化しておいた」
瞳には以前にそのことについて相談をしたことがあったので、きっと配慮してくれたに違いない。シフトは確定しているし、普通なら予約客のために、指名があった場合は出勤日に入れるようにしているのだ。
「あの……すみません。ありがとうございます」
「いや、やっぱりどう考えてもおかしい気がして。だってそんなに頻繁にプレゼントってしなくない? うちの旦那なんて、誕生日くらいにしかくれないわよ。それに気に入ったのなら、奥さんと一緒に来店するんじゃないかなって思うのよ。まぁ来られない事情があるかもしれないけど、なんかねぇ……」
瞳がそこまで考えてくれていることに感謝しながら、食事に誘われたことについて話すかどうかを悩んだ。しかしきちんとお断りをした後だったので、今回は黙っていることにした。
「一番の心配は帰り道なんだけどねぇ」
「あっ、実は迎えに来てくれる人が見つかったんです。ずっとではないですが、しばらくお願い出来そうなので……」
「あら、本当? それは良かった! お友達?」
「高校の時の後輩くんなんですが、なんだかフリーランスの仕事をしているそうで、やってもいいと言ってくれて」
その時、瞳の眉間に皺が寄り、目の奥が光るのを感じた。
忙しかった一日も終わり、春香は店長の島木瞳とともに閉店作業をしていた。
「よし、今日の仕事は終わり! 佐倉さんもお疲れ様」
「お疲れ様です。本当に今日は忙しかったですねぇ」
タブレットを閉じて両腕をぐるぐると回していた瞳は、片付けをしていた春香に向かって声をかける。
「そういえば今日の午前中に、またあの男性が来たのよね。前に佐倉さんが接客した……ほら、奥さんへのプレゼントを選んで欲しいって言った人」
「えっ……」
「なんかまた佐倉さんに相談したいことがあるから、あなたの出勤の予定を教えて欲しいって言われたの」
春香の顔から血の気が引いていく。
「あの、店長は何て……」
「『今日の午後は出勤しますが、明日は休みです。その後のシフトはまだ確定ではないので』って誤魔化しておいた」
瞳には以前にそのことについて相談をしたことがあったので、きっと配慮してくれたに違いない。シフトは確定しているし、普通なら予約客のために、指名があった場合は出勤日に入れるようにしているのだ。
「あの……すみません。ありがとうございます」
「いや、やっぱりどう考えてもおかしい気がして。だってそんなに頻繁にプレゼントってしなくない? うちの旦那なんて、誕生日くらいにしかくれないわよ。それに気に入ったのなら、奥さんと一緒に来店するんじゃないかなって思うのよ。まぁ来られない事情があるかもしれないけど、なんかねぇ……」
瞳がそこまで考えてくれていることに感謝しながら、食事に誘われたことについて話すかどうかを悩んだ。しかしきちんとお断りをした後だったので、今回は黙っていることにした。
「一番の心配は帰り道なんだけどねぇ」
「あっ、実は迎えに来てくれる人が見つかったんです。ずっとではないですが、しばらくお願い出来そうなので……」
「あら、本当? それは良かった! お友達?」
「高校の時の後輩くんなんですが、なんだかフリーランスの仕事をしているそうで、やってもいいと言ってくれて」
その時、瞳の眉間に皺が寄り、目の奥が光るのを感じた。