Love is blind〜無口で無愛想な作家は抑えられない独占愛を綴る〜
「なんか花冠みたい……」
「『Love is blind』の最後のシーン、覚えてますか? 花畑の中というのは、春香さんの香りからのインスピレーションなんです」

 甘くて優しい"春"の"香り"。春香さんの香りの中で眠るのなら、もう目覚めなくても幸せかもしれないーーあの頃は本気でそう思っていた。でも今は春香さん()の中で目覚めたいと願う。

「……瑠維くんって、私がフラれたところを見てたでしょ?」
「……何故ですか?」
「だって、今日ここを選んでプロポーズしてくれたのは、《《あの日》》のことを知ってるからじゃない?」

 隠しきれずに頷いた僕の頬を春香さんが触れ、そしてキスをされた。

「ありがとう。今までで一番素敵な分岐点になったよ。たぶんこれから先、桜を見て思い出すのはきっと今日の記憶だと思う」

 春香さんは忘れたと言っても、きっと心には残っていると思っていた。だから新しい記憶で上書きが出来たらーーそんな思いでこの場所を選んだのだが、彼女にはその意図がバレバレだったようだ。

 でも春香さんがすごく嬉しそうに笑うから、もうそれだけで良かった。

「僕は春香さんと出会えて、本当に幸せです」

 たぶん僕の愛情は春香さんが想像している以上に深く重い。きっとこれからも僕は春香さん以外には目を向けず、あなただけを愛していくんだ。

 こんな僕を知っても、春香さんはそばにいてくれるだろうかーー不安に思ったその時、彼女は僕の顔を覗き込んで微笑んだ。

「瑠維くん、私を想い続けてくれてありがとう。これからは私も同じくらい瑠維くんを大切にするからね」

 その言葉は僕の心を包み込み、不安だった心を一瞬で解き放った。

 あぁ、だから僕はあなたがいい。春香さんがそばにいてくれるだけで、こんなにも温かい気持ちになれる。

 僕のそばにいて。僕の名前を呼んで。僕だけを愛してーー。

 僕はこれからもあなたへの抑えられない愛を綴り続ける。

<完>
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