Love is blind〜無口で無愛想な作家は抑えられない独占愛を綴る〜
「瑠維くんは、どこでどんなふうに私たちを見ていたの? 普段はどんなふうに過ごしてた?」

 そう尋ねると、瑠維は自分のことを聞かれるとは思っていなかったようで、視線をぐるぐる動かしながら口を閉ざす。

「……似たような雰囲気の友人たちと一緒にいることが多かったです。食事を食べながら、声がするたびに先輩たちを見ていましたよ。僕たちは感情の起伏が少ないので、喜怒哀楽がはっきりしている先輩たちは、見ていて面白かったです」

 春香は眉間に皺を寄せて、口をへの字に曲げた。

「……それって褒められてる? (けな)されてる?」
「もちろん褒めています」
「そうなの? まぁ……それならいいか」
「僕は見ている専門だったので、まさか先輩とこんなふうに話をする日が来るとは思いませんでした」
「本当にそうだね。私もヒロくんと再会出来ると思っていなかったし、ほとんど話したことのなかった瑠維くんを頼る日が来るなんて想像もしなかった。でも瑠維くん、想像していたよりも話しやすくてびっくりしてる」
「……それは光栄だ」

 今度こそ瑠維が笑った。この笑顔をどれだけの人が見たことがあるのだろう。春香の胸が高鳴る。

 彼の笑顔を心に焼き付け、春香は微笑んだ。

「じゃあ次はデザート?」
「それなら食べたいものがあるので、付き合ってもらえますか?」
「もちろん」

 伝票を取ろうとした春香だったが、瑠維に先に取られてしまう。

「あっ、私に払わせて! こんな時間にここまで来てもらってるし……」
「いいんです。僕が好きでやっていることですから」
「でも……」
「じゃあ次のデザートを奢ってください」

 瑠維の優しさとスマートさにドキドキしながら、彼の言葉に甘えてしまうのだった。
< 21 / 151 >

この作品をシェア

pagetop