Love is blind〜無口で無愛想な作家は抑えられない独占愛を綴る〜
「春香さんって、昔はもっとガツガツ行くタイプでしたよね。いつからそんなに遠慮がちになったんですか?」
「……遠慮がち? なんかさりげなく悪口言ってない?」
「言っていません」
「それならいいんだけど。まぁ大人になったってことじゃないかな。自分の気持ちを押し通すだけじゃ、仕事は出来ないわけだし」
「なるほど」
素直にそう話したのに、瑠維の目はまだ何かを訴えているように見える。
『それだけですか?』
まるで彼の瞳に問いかけられているような気分になった。視線を逸らした春香は、唇をキュッと結ぶ。
「あとは……失恋したのも大きかったかもしれない。すごく頑張っても報われない。振り向いてもらえないと、自信もなくなっちゃうみたい。与えた分、返ってきて欲しいし、与えられたら返さなきゃいけない。なんか義務みたいでちょっと疲れちゃう」
それに失恋して落ち込んだ自分を見せまいと、明るく振る舞っていたのも辛かった。そのままの自分を見せれば良かったのかもしれないが、強がってしまう性格上、なかなか出来なかったのだ。
「……それは困りましたね。どうしたら春香さんの自信が戻ってくるのでしょうか」
「さぁ、どうなんだろう。でも別に戻って来なくてもいいかな」
「どうしてですか?」
「うーん……なんていうか自信って結構エネルギー使うし疲れちゃうのよ。私ももう若くないし」
これが正直な気持ちなのだろうと思う。今の浮き沈みの少ない穏やかな生活が一番楽だと感じる瞬間が多々あったから。
「それとも瑠維くんは、今の私より昔の私の方が良かったーとか思ってる?」
「い、いえ……決してそんなことはないです。でも……理由を知れて良かったです。少しだけ見通しが立ったので」
「見通し?」
「これは僕の推測に過ぎないので、怒らず聞いてくださいね。きっと春香さんは身を焦がすほどの恋に落ちたことがないんです。それはまだ春香さんの心からの誰のものにもなっていない証拠だと思うんです」
「……ヒロくんへの片想いは?」
「あれは片想いであって、お互いに想い合ったわけではないですよね。それに、その時の気持ちはもう高校に置いてきたはずです。それとも取りに戻ります?」
「それはしない」
春香は激しく首を横に振ってから即答する。ヒロくんの心は椿ちゃんと繋がった。だからそれを壊すつもりはなかった。
「……遠慮がち? なんかさりげなく悪口言ってない?」
「言っていません」
「それならいいんだけど。まぁ大人になったってことじゃないかな。自分の気持ちを押し通すだけじゃ、仕事は出来ないわけだし」
「なるほど」
素直にそう話したのに、瑠維の目はまだ何かを訴えているように見える。
『それだけですか?』
まるで彼の瞳に問いかけられているような気分になった。視線を逸らした春香は、唇をキュッと結ぶ。
「あとは……失恋したのも大きかったかもしれない。すごく頑張っても報われない。振り向いてもらえないと、自信もなくなっちゃうみたい。与えた分、返ってきて欲しいし、与えられたら返さなきゃいけない。なんか義務みたいでちょっと疲れちゃう」
それに失恋して落ち込んだ自分を見せまいと、明るく振る舞っていたのも辛かった。そのままの自分を見せれば良かったのかもしれないが、強がってしまう性格上、なかなか出来なかったのだ。
「……それは困りましたね。どうしたら春香さんの自信が戻ってくるのでしょうか」
「さぁ、どうなんだろう。でも別に戻って来なくてもいいかな」
「どうしてですか?」
「うーん……なんていうか自信って結構エネルギー使うし疲れちゃうのよ。私ももう若くないし」
これが正直な気持ちなのだろうと思う。今の浮き沈みの少ない穏やかな生活が一番楽だと感じる瞬間が多々あったから。
「それとも瑠維くんは、今の私より昔の私の方が良かったーとか思ってる?」
「い、いえ……決してそんなことはないです。でも……理由を知れて良かったです。少しだけ見通しが立ったので」
「見通し?」
「これは僕の推測に過ぎないので、怒らず聞いてくださいね。きっと春香さんは身を焦がすほどの恋に落ちたことがないんです。それはまだ春香さんの心からの誰のものにもなっていない証拠だと思うんです」
「……ヒロくんへの片想いは?」
「あれは片想いであって、お互いに想い合ったわけではないですよね。それに、その時の気持ちはもう高校に置いてきたはずです。それとも取りに戻ります?」
「それはしない」
春香は激しく首を横に振ってから即答する。ヒロくんの心は椿ちゃんと繋がった。だからそれを壊すつもりはなかった。