Love is blind〜無口で無愛想な作家は抑えられない独占愛を綴る〜
「それなら、そういう相手をこれから見つけるだけですね」
「うん……そうだね。でもそれってどんな人なんだろう。今まで付き合った人はいたけど、続かずにすぐに別れちゃった」
特に思い出もないくらいの元彼達に言われたのは、
『春香っそんなに俺のこと、好きじゃないよね?』
の一言。否定出来なかった。
「そうですね……例えば、春香さん以外は恋愛対象にならないくらい、あなたしか見えていない男はどうでしょう。春香さんにだけ愛を囁き、春香さんがいなければ生きている意味がない。あなたがいればそれだけでいい、あなたに愛されたい、あなたの心が欲しい、でもあなたに拒絶されるのが怖くて近寄れないというような男が現れたら、春香さんはどう思われますか?」
瑠維は無表情のまま、言葉を選びながら話した。あまりにも具体的な内容だったので、一瞬瑠維の心の声を聞いているような気すらしていた。
彼が私を好き? いやいやまさか。だって彼とちゃんと話したのは最近。そんなはずはない。
ということは前に聞いた、彼が好きだった人のことだろうか。瑠維くんは拒絶されるのが怖くて近寄れなかったの?
この人の裏表のない真っ直ぐな愛を受けたらーー私なら同じだけの愛を返したくなってしまうに違いない。だって瑠維くんなら、私の全てを受け止めてくれるような気がしたから。
「それは……私なら幸せだって思うかも。そこまで想ってくれる人に出会ったことがないから、きっと嬉しいんじゃないかしら……」
瑠維は驚いたように目を見開く。
「気持ち悪くはないですか? 一歩間違えればストーカーと変わりはないんです」
それは町村のことを指しているのだろうか。だとしても、瑠維と重なる部分はこれっぽっちも存在しない。
「あぁ、なるほど。でも危害は加えたりしないでしょ? その時点であの男とは全く違うよ」
それが瑠維くんだったらーー私ならすごく嬉しいよ。そんなありもしないことを想像して、少しだけ胸が切なくなる。
「確かに瑠維くんの言う通りかもしれない」
「……はい?」
「私、そこまで想われたことはないなと思って。逆もまた然りだけど。お互いしか見えないみたいな恋、小説みたいでちょっと憧れる。中途半端な恋は疲れるだけだけど」
非現実的な世界だから魅力的なのだ。昔読んだ海外のロマンス小説みたいにヒーローに溺愛されたら、私も少しは自信が持てるんじゃないかしら。
すると瑠維は小さく微笑み、そっと目を伏せた。
「なるほどーーやはり根は昔の春香さんのままなんですね。安心しました」
昔の私のまま? また高校時代の私のことだろうか。瑠維くんは私が覚えていないことまでしっかり記憶に残っているみたいだから不安になる。
「ああ、気にしないでください。なんでもないですから」
鼻歌を歌いながら食器を片付けているのに、なんでもない? そんなことあるわけないでしょう!
とはいえ、何も思い出せない自分の頭を悔やむしかなかった。
「うん……そうだね。でもそれってどんな人なんだろう。今まで付き合った人はいたけど、続かずにすぐに別れちゃった」
特に思い出もないくらいの元彼達に言われたのは、
『春香っそんなに俺のこと、好きじゃないよね?』
の一言。否定出来なかった。
「そうですね……例えば、春香さん以外は恋愛対象にならないくらい、あなたしか見えていない男はどうでしょう。春香さんにだけ愛を囁き、春香さんがいなければ生きている意味がない。あなたがいればそれだけでいい、あなたに愛されたい、あなたの心が欲しい、でもあなたに拒絶されるのが怖くて近寄れないというような男が現れたら、春香さんはどう思われますか?」
瑠維は無表情のまま、言葉を選びながら話した。あまりにも具体的な内容だったので、一瞬瑠維の心の声を聞いているような気すらしていた。
彼が私を好き? いやいやまさか。だって彼とちゃんと話したのは最近。そんなはずはない。
ということは前に聞いた、彼が好きだった人のことだろうか。瑠維くんは拒絶されるのが怖くて近寄れなかったの?
この人の裏表のない真っ直ぐな愛を受けたらーー私なら同じだけの愛を返したくなってしまうに違いない。だって瑠維くんなら、私の全てを受け止めてくれるような気がしたから。
「それは……私なら幸せだって思うかも。そこまで想ってくれる人に出会ったことがないから、きっと嬉しいんじゃないかしら……」
瑠維は驚いたように目を見開く。
「気持ち悪くはないですか? 一歩間違えればストーカーと変わりはないんです」
それは町村のことを指しているのだろうか。だとしても、瑠維と重なる部分はこれっぽっちも存在しない。
「あぁ、なるほど。でも危害は加えたりしないでしょ? その時点であの男とは全く違うよ」
それが瑠維くんだったらーー私ならすごく嬉しいよ。そんなありもしないことを想像して、少しだけ胸が切なくなる。
「確かに瑠維くんの言う通りかもしれない」
「……はい?」
「私、そこまで想われたことはないなと思って。逆もまた然りだけど。お互いしか見えないみたいな恋、小説みたいでちょっと憧れる。中途半端な恋は疲れるだけだけど」
非現実的な世界だから魅力的なのだ。昔読んだ海外のロマンス小説みたいにヒーローに溺愛されたら、私も少しは自信が持てるんじゃないかしら。
すると瑠維は小さく微笑み、そっと目を伏せた。
「なるほどーーやはり根は昔の春香さんのままなんですね。安心しました」
昔の私のまま? また高校時代の私のことだろうか。瑠維くんは私が覚えていないことまでしっかり記憶に残っているみたいだから不安になる。
「ああ、気にしないでください。なんでもないですから」
鼻歌を歌いながら食器を片付けているのに、なんでもない? そんなことあるわけないでしょう!
とはいえ、何も思い出せない自分の頭を悔やむしかなかった。