Love is blind〜無口で無愛想な作家は抑えられない独占愛を綴る〜
「今日犯人の聴取をしたんですが、昨夜現場の警官に話してくださった内容とですね、だいぶ違う部分が出てきていまして」

 春香にはその言葉の意図していることがわかったような気がした。

「……時期、ですか?」
「ええ、その通りです。被疑者によればあなたをずっと観察し続けていたそうです。あなたを知れば知るほど、二人の相性がいいと感じたと本人は言っていましたが、あなたと知り合うために、客を装って近づいたようですね」

 昨夜は本人の口から、そして今は刑事の口からそのことを知らされ、春香の顔から血の気が引いた。

 相性がいいとは、一体何を見て思ったのだろうか。春香からすれば、彼との共通点は何も見つけられなかった。

「ストーカーというのは、大きく五つの分類がされているんです。恋愛型、復讐型、妄想型、ネット型、集団型。今回のは自分の気持ちを充足させようとしての行為ですが、自分勝手な妄想も働いていますからね」
「それに不法侵入、暴行罪、傷害罪、脅迫罪。余罪もたくさんありそうですよね」

 瑠維が言うと、川崎は頷いた。

「ええ、そのあたりは今後の捜査の焦点になると思います。今後はストーカー規制法に基づいての処罰もあるでしょう。気にしないというのは無理だと思いますが、犯人は捕まっていますから、その点は安心してください」
「……わかりました」
「きっとこれからも警察から連絡が行くと思いますが、ご協力よろしくお願いします」
「こちらこそ、お願いいたします」

 それから春香は、昨夜の話の内容を補填するように今までの出来事について話し始めた。
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