Love is blind〜無口で無愛想な作家は抑えられない独占愛を綴る〜
* * * *
『そんなことがあったなんてーー』
椿は明らかに絶句していた。
「だから連絡が遅くなっちゃったの。ごめんね」
『ううん、そんなことがあったら連絡なんて出来ないよ。でも……本当に無事で良かった』
「椿ちゃんのおかげだよ。瑠維くんに連絡してくれたんでしょ? 彼が来てくれなかったら、どうなっていたかわからないもの」
『彼なら絶対に春香ちゃんを守ってくれる気がしたんだ。なんかよくわからない確信なんだけど、今頼れるのは彼だと思ったの』
椿の言葉は、そのことについての明言するのを避けている。春香自身も確証があるわけじゃないから、ただの憶測に過ぎない。
「あのさ……高校時代の瑠維くんって覚えてる?」
『ううん、全然。私なんかは特に博之くんの関わりは誰も知らなくて……何かあったの?』
彼が作家であること、そして彼の処女作を読んだことを伝えようか迷ったが、まだ早い気がした。
瑠維くんと話してからじゃないとーー。
今までの恋愛は、なんでも椿に相談してきた。でも今回はこれまでの恋とは少し違う。誰かに相談するよりも、直接彼の気持ちを確かめたいと思ったのだ。
「ううん、なんでもない。それよりこの間のデートは楽しかった?」
『もう、すぐに話を逸らすんだから。まぁでも……楽しかったよ』
「うふふ、いいなぁ、そういう話をもっと聞きたーい!」
そんなふうに話が盛り上がり始めた頃、突然リビングのドアが開いて瑠維が部屋に入ってきたのだ。
驚いた春香は一瞬言葉を失った。
瑠維は春香が電話中だとわかっていたからか、敢えて書斎で着替えをしてからリビングに戻って来たようだ。
Tシャツとスウェットを着用した瑠維は、唇の前で人差し指を立てると、キッチンの中へ入っていく。そして冷蔵庫から水のペットボトルを取り出すと、春香のいるソファにやって来た。
『春香ちゃん?』
「あっ、うん、なんでもないの」
その時だった。瑠維の目が大きく見開かれ、片手で自身の口を塞いだのだ。
なんだろうと瑠維の視線を追っていくと、そこには大量のティッシュペーパーと、彼の小説が置かれたままになっていた。
『そんなことがあったなんてーー』
椿は明らかに絶句していた。
「だから連絡が遅くなっちゃったの。ごめんね」
『ううん、そんなことがあったら連絡なんて出来ないよ。でも……本当に無事で良かった』
「椿ちゃんのおかげだよ。瑠維くんに連絡してくれたんでしょ? 彼が来てくれなかったら、どうなっていたかわからないもの」
『彼なら絶対に春香ちゃんを守ってくれる気がしたんだ。なんかよくわからない確信なんだけど、今頼れるのは彼だと思ったの』
椿の言葉は、そのことについての明言するのを避けている。春香自身も確証があるわけじゃないから、ただの憶測に過ぎない。
「あのさ……高校時代の瑠維くんって覚えてる?」
『ううん、全然。私なんかは特に博之くんの関わりは誰も知らなくて……何かあったの?』
彼が作家であること、そして彼の処女作を読んだことを伝えようか迷ったが、まだ早い気がした。
瑠維くんと話してからじゃないとーー。
今までの恋愛は、なんでも椿に相談してきた。でも今回はこれまでの恋とは少し違う。誰かに相談するよりも、直接彼の気持ちを確かめたいと思ったのだ。
「ううん、なんでもない。それよりこの間のデートは楽しかった?」
『もう、すぐに話を逸らすんだから。まぁでも……楽しかったよ』
「うふふ、いいなぁ、そういう話をもっと聞きたーい!」
そんなふうに話が盛り上がり始めた頃、突然リビングのドアが開いて瑠維が部屋に入ってきたのだ。
驚いた春香は一瞬言葉を失った。
瑠維は春香が電話中だとわかっていたからか、敢えて書斎で着替えをしてからリビングに戻って来たようだ。
Tシャツとスウェットを着用した瑠維は、唇の前で人差し指を立てると、キッチンの中へ入っていく。そして冷蔵庫から水のペットボトルを取り出すと、春香のいるソファにやって来た。
『春香ちゃん?』
「あっ、うん、なんでもないの」
その時だった。瑠維の目が大きく見開かれ、片手で自身の口を塞いだのだ。
なんだろうと瑠維の視線を追っていくと、そこには大量のティッシュペーパーと、彼の小説が置かれたままになっていた。