大神様の呪いのふみきり
こんな風に、噂のあるフミキリに自分1人で置き去りされて怖くないわけがない。
四葉が怒った顔を作って振り向いたそのときだった。

「ちょっと、どうしてこんなことするの!?」
怒った声が急速にしぼんでいく。

四葉の目の前に立っていたのは沙友理でも瑠美でもなかった。
四葉と同じくらいの身長で、真っ赤なワンピースを着た女の子だったのだ。

「あ、ごめんなさい。人違いです」
慌てて謝ってから相手をマジマジと見つめた。

ワンピースから伸びる女の子の肌は黒ずんでいて、ところどころ肌が剥がれ落ちている。
髪の毛はボサボサに乱れていて、なにか黒い塊がへばりついている。

目は灰色ににごり、見えているのかどうかわからない。
異様な状態であることは確かだった。

誰かの助けが必要なのかもしれない。
それでも四葉がなにも言えなかったのは、その女のコには指が一本、なかったからだった……。
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