大神様の呪いのふみきり
☆☆☆

3人分の話を聞き終えたとき、洋平は放心したように廊下に座り込んでいた。
凛子は憮然とした態度で話を聞いているのかどうかわからなかった。

最初は半信半疑そうな顔をしていた洋平だけれど、3人が順番に左手を見せたことで信じてくれたようだった。
3人共左手薬指がなくなっているのだから、信じずにはいられなかったんだろう。

「そんな話を大人が信じると思った?」
そう聞いてくる凛子の声は少し震えている。

動揺を隠しきれていないのが、3人にも伝わってきた。
「本当のことなんです。もうひとつ言えば、あなたの生徒手帳は本当はフミキリで見つけました」

沙友理の言葉に凛子が息を飲む。
そして顔を真赤にして「嘘をついたのね!」と怒鳴った。

そのまま沙友理へ掴みかかってきそうになり、沙友理は咄嗟に身構えた。
けれどふたりの間に洋平が割って入ったので、何事もなく終わった。

「生徒手帳を落とすことくらい誰でもあるだろう。どうして君はそれで動揺するんだ?」
洋平からの鋭い質問に凛子が視線をさまよわせる。

「だ、だって、この子たちが嘘をついたから」
「嘘といっても大した嘘じゃない。それなのに、君はずっと取り乱してる」

洋平が軽くため息を吐き出して凛子を見つめる。
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