大神様の呪いのふみきり
苦しげに声を絞り出す洋平。
自分がプレゼントしたものを探して、ずっとフミキリにとどまっているなんて、思ってもいないことだったんだろう。

「こんなことになるなら、ヒナに指輪をプレゼントするんじゃなかった」
指輪さえなければ、事故が起きたときに大神田さんは成仏できていたかもしれない。

洋平はそう考えて重たい息を吐く。
「そんな風に考えないでください」

そう言ったのは瑠美だった。
瑠美は必死の様子で「大神様はきっと、とても嬉しかったと思います」と続ける。

死んでもなお思い続けることができるものがあるなんて、羨ましい。
瑠美は素直にそう伝えた。

執着とも取れるほど強い思念だけど、それほどのものを瑠美はまだ持っていなかった。
これから先手に入れることができるかどうかもわからない。

そんな大切なものを、大神様はたった14年という人生で手に入れたのだ。
「そんな風に言ってもらえると嬉しいよ、ありがとう」

瑠美の説得で洋平に笑顔が戻った。
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