大神様の呪いのふみきり
よかった。
これで気に病むこともなくなるはずだ。

「だけど僕は1度もあのフミキリでヒナを見たことがない。今まで何度も花を手向けに行ったのに」
「どうして私達の前に大神田さんが出てきたのか、私達にもわからないんです。別に霊感があるわけでもないのに」

沙友理が呟くように言う。
もしかしたら学校内で噂になっていたことが原因のひとつかもしれない。

大神様の呪いのフミキリについて噂をしていたから、本人を引き寄せる結果になったのかも。
「ヒナは自分がまだ中学生だと思っているのかもしれないな。だから制服姿の君たちに声をかけたのかも」

洋平の言葉に四葉は頷いた。
なんにせよ。3人と大神様には通じるものがあったんだろう。

それが今では大神様は誰にでも見える存在になっている。
暴れまわり、獣のような咆哮を繰り返している。

その姿を思い出すと四葉は今でも全身に震えが走る。
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