大神様の呪いのふみきり
「小さなものだしなぁ……」
洋平はそう言ったきり考え込むように黙り込んでしまった。

事故が起きたのは10年も前のことだ。
その時の指輪がどこにあるかなんて、わかるはずもなかった。

「ほらね、結局わかることなんてなにもないの。さっさと帰ってくれる?」
しばらくおとなしくしていた凛子が声を震わせて言った。

その目はあいかわらず釣り上がり、3人への怒りをにじませている。
「どうしてそこまで怒ってるんですか? 私達、なにかしましたか?」

さっき服を掴まれた四葉が食いつくように質問した。
「したわよ。私に嘘をついた。この家に入ってきたときだってレポートだのなんだのって嘘をついたわね。私が怒るのだって当然でしょう?」

腕を組んで睨みつけてくる凛子に四葉は奥歯を噛み締めた。
洋平は知っていることを話してくれたと思う。

凛子からもなにか聞き出せたらと思っていたけれど、この様子じゃ無理そうだ。
「早く出ていかないと警察を呼ぶわよ?」

凛子に脅されて3人は玄関先へと転がるように向かう。
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