大神様の呪いのふみきり
「ふたりの名前を刻もうと思ったけれど、うまく行かなくてすぐにやめたんだ」
洋平は懐かしそうに目を細めて指輪を見つめている。

だけど問題はまだ解決していない。
洋平がヒナへプレゼントした指輪が、どうしてここにあるかということだ。

四葉は視線を凛子へ向けた。
凛子は青ざめた顔で廊下に膝をついている。

うつむき誰とも視線を合わせようとしない。
「フミキリてあなたの生徒手帳を見つけて、水槽で指輪を見つけました。これって偶然じゃないですよね?」

四葉が落ち着いた口調で凛子へ向けて質問する。
凛子は一瞬肩をビクリと跳ねさせて、それからゆっくりと顔を上げた。

「なにその指輪? 私はなにも知らないんだけど?」
しらを切るつもりかもしれない。

だけどさっきまでの勢いは失われている。
もう逃れられないと察しているのだろう。

「残念ですけど、私達はここまでです。早く指輪を返しに行かないと」
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