大神様の呪いのふみきり
自分1人で指輪を探し続けて、どこにも無くて、その悲しみが全身から溢れ出しているように見えた。
四葉は一歩前へ踏み出してそっと手を伸ばした。

勇気を出して、その肩をトントンと叩く。
それは自分たちは大神様にされてきたのと、同じ行為だった。

大神様の体は思っていた以上に小さくて、そして凍えるほどに冷たい。
生きている人間の肌に触れたとき、大神様はなにを思っていただろう。

自分とは違う健康的な人間を見て、嫉妬や苦痛は少なからずあったはずだ。
それを押し殺してでても指輪を探してほしかった。

そんな気持ちが痛いほどに流れ込んでくる。
「大神様、指輪を見つけたよ」

四葉の声にうずくまっていた大神様がゆっくりと振り向いた。
灰色の目四葉たち3人を見据える。

四葉は大神様に見えるように指輪を差し出した。
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