大神様の呪いのふみきり
そこにはふたりの男女が話をしている姿があった。
見た目は変わってしまったけれど、女子生徒が大神田ヒナであることはすぐにわかった。

男子生徒の方もモデルのように背が高くてスラリとしているから洋平だとわかった。
これは当時ふたりが付き合っていた頃の映像ということになる。

「今日の放課後はどうする?」
「どうしよっか。ヒナはどこか行きたいところがある?」

ふたりはとても仲が良さそうで、互いにほんのりと頬を染めている。
きっと付き合い始めて間もないんだろう。

照れくささやぎこちなさが、こっちにまで伝わって来るような幸せな雰囲気だった。
だけど、教室内ではそんなふたりを妬ましそうに睨みつけているふたつの目があった。

窓際の席に座ってずっと本を読んでいるように見えて、ほんの隙間から睨みつけている。
それは凛子だった。

凛子は文庫本を持つ手にギュッと力を入れていて、爪痕が髪にクッキリと残っている。
「凛子さんは洋平さんのことが好きだったんだね」

その様子を見て瑠美が言う。
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