大神様の呪いのふみきり
この子の話を聞いちゃいけない。
本能的にそう感じた四葉は自分でも気が付かないうちにその場から逃げ出していた。

線路にそって走っていけば、駅が見えるはずだ。
そこで助けを呼ぼう。

そう考えることができたのは走り出して少したったときのことだった。
「誰か、誰か助けて!」

雑草をかき分けて走りながらそこら中に声をかける。
いつものこの時間帯なら犬の散歩をしている人がいたり、買い物帰りの人がいたりするけれど今日に限って誰もいない。

「なんで誰もいないの!?」
悲鳴に近い声を上げて近くの民家の玄関へと走った。

電気がついているからきっと誰かが出てきてくれるはずだ。
「すみません、助けてください!」

チャイムを鳴らし、ドアを叩く。
だけど誰も外へ出てくる様子はない。

「助けてください! お願いします!」
ドアノブに手をかけて回してみてもびくともしない。

鍵がかかっているんだろうかと思って窓の方へ回ってみると、薄いカーテンの向こうに人影が見えた。
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